悲しき待ちぶせ(鬼)
節分の日。
所用を済ませに出かけると、そこに鬼がいたのです。
それもかなりガチな鬼。
赤い全身タイツに虎縞パンツ、スーパーサイヤ人みたいに逆立った金髪と、鬼の面。
鬼は保育園の入り口にしゃがみ、へばりつき、突入の時を待っているようです。
私も、他の通行人も、鬼を見て「フフッ」となりました。
もうすぐ彼は勇ましくドアを開け、子供たちに豆を投げられ、ヒィヒィ言って退散するのでしょう。
けれど。
30分後。
用事を終えて戻ると、まだ鬼はそこにいたのです。
なにか、予定が押したのでしょうか。
背格好と雰囲気から見て、鬼はまだ20~30代の男性に見えます。
その傍らを、クリープハイプの「鬼」を口ずさみつつ通り過ぎる女子高生。
やめてあげて……!
【追記】
ちゃんと北北西を向いて、目をつぶって、願い事をしながら無言で食べきりましたよ!