捨てられない服は、「かさぶた」

 年末のうちに捨てたかったけれど、どうしても捨てられない服たちがおりました。

 かれこれ数年、いや十年以上囲っていたものもありました。

 彼女たちは、ベンチ入りすれど絶対に声がかからぬ選手のよう。

 

 1~2年前の服ならまだしも、なぜそんなに古いものをいつまでも……?

 

 おそらく、彼女たちは私の「皮膚」だったからなのだと思います。

 

 ある時期、私の身を被って共に過ごしたもうひとつの肌。

 だからむげにできない。

 時を経て傷んでいるし、型も古いし、何より今の自分に似合わない。

 

 そうわかっているけれど、心の底で、いやきっといくつになっても似合うはず、なんて思ってしまうーー。

 

 だからこそ、毎年の大掃除をすり抜けて、まだそばにいたのでしょう。

 けれど。

 

 今ようやく、決別できそうです。

 1月中なら、まだ年末のロスタイムと言えるだろうし、年度末までは間があります。

 

 そうと決めたら、「もっと早く捨てればよかった」とも思うのですが、やはりそれは無理なこと。

 

 捨てられない服は、「かさぶた」のようなもの。

 

 機が熟さないうちにはがしたら、やはり痛いし辛いのです。

 

 自然にほろりとはがれるまで待つのが、きっと正解。

 たとえ、数年、あるいはもっとかかっても。

 

 だから、「服が捨てられない!」という人は、無理しなくていいと思うのです。